farm by FOSTER アトリエ インカーブの3人展

hiromiyoshii roppongi FARM

2014.10.25 - 11.22

「アトリエ インカーブ」(大阪市平野区)は、社会福祉法人 素王会のアートスタジオ として2002年に設立され、知的障がいのある芸術作家たちの創作活動を支援していることで有名です。特にそこには才能豊かな作家が多数所属していることから、近年は その芸術的評価も高まっており、サントリーミュージアム天保山(2008年)を皮切りに、国内各地で展覧会が開催されてきているほか、国際アートフェアへも参加しており、作品の中には著名なコレクターの所蔵となったものも出てきました。
今回の展覧会は、そこで活動する26名の作家の中から、代表格の寺尾勝広、寺井良介、 阪本剛史の3名の作家の作品を展示するものです。 これは、それぞれの作家の持つ類い稀な作風や、そこに醸し出される独特の世界観を堪能して頂ける機会を提供するものですが、同時に、現代美術の最先端を紹介する 商業的空間のなかで、彼らの作品の真価を問うてみる実験的な試みでもあります。

 

 

三人には知的に障がいがある。
彼らはへつらわず淡々と、
好きなものを描き続ける。
その作品を前にして感じる圧倒的な独創性、
色彩感覚とユーモアのセンス。
彼らは、一切の美術教育を受けていない。
謎だ。
それらはきっと、様々な問題を抱える現代社会と未来を繋ぐ触媒のような存在。 自由であることからしか生まれない絶対的な肯定感は、 私を、あらゆるしがらみから解放する。
少数派であることを怖れないこと、
意見の多様性を確保すること、
ユーモアを忘れないこと。
あるいは、悲しみや孤独、
私たちを取り巻くたくさんの理不尽なこと。
ひとりひとりは小さく弱い私たちは、
寄り添い認め合うことで幸せになれる。
マーケット主導による好景気にわく現代美術業界。
何だかそれは、キラキラした特別な人たちの世界の出来事のようだが、
そもそもアートの本質とは何か。
アートを身近に置くことで、
私たちの生活がどのように変化するのか。
大阪の『アトリエ インカーブ』は、細部にわたり一貫した美意識に貫かれた清潔でスタイリッシュな空間。

それは、今日も全国津々浦々で無心に制作に打ち込む、たくさんのアーティスト達のドリームハウスです。

全ての人が、当然 のこととして等しくもつ幸せになる権利。市場に絡めとられることのない、 アートを通したソーシャルデザインの可能性を、もっと多くの人に知ってもら いたい。それが今回の展覧会のもうひとつの趣旨です。