Christies NY

2020.1.23

クリスティーズ NYが Outsider art fair 初日プレビューと同日に開催したオークション。
カタログの表紙を飾ったのはBill Traylor(1853ー1949)の「Man on White,Woman on Red」1939-1942
「カラーパープル」撮影後、スピルバーグから原作者でピュリッツァー賞を受賞したアリス・ウォーカーに贈られた作品。来歴や物語は作品に大きな付加価値を与えます。因みにestimate は$200,000-400,000 落札価格は$507,000でこの度のSALEの最高落札価格でした。

19世紀半ばアメリカアラバマの農場で奴隷の子として生まれ小作人として過酷な人生を生きたビルトレイラー。正統な美術教育を受けておらず、85歳(すごいですよね!)から絵を描き始めたアメリカのアウトサイダーアートを代表する作家です。

死後に再評価される作家はたくさんいますし、日本には無いマーケットのダイナミズムを羨ましくも感じつつ、あーー、出来れば、是非とも、生きているうちに評価して欲しい。コレクターが投資の対象としてのアートに安心安全を求め、今や完全にオークションハウスがイニシアチブを取るマーケットの構図。一方で、まだ評価の定まらない作家を発見し応援しようっていうコレクターは本当にすくない。今回のフェアにコレクターが少なかったって声が聞こえてきたのは、もしかしたらこのsale が一因なのかもしれない。

実は私のキャリアは某オークションハウスが運営するロンドンの教育機関で始まりみっちりしごかれたんだった。遠い昔のことですが、、ともあれ、せっかく来たので、駆け足ながら久しぶりにオークションハウス独特のラグジュアリーな空間を堪能しました。

https://www.christies.com/outsider-art-28379.aspx?saletitle=

 

2020/1/23

杉本志乃