SEIZE THE DAY「THE WORLD」Report-9

2024.2.15

大豆パニック!と勘違い

 
「大豆パニック」に陥った私たち。
 
「去年の大豆の収益がほぼマイナスに近い!」青ざめる姉の姿に膝から崩れ落ちそうになった妹の私。
「ちゃんとしたファクトに基づいて言ってるの?もう一度計算してみたら?」何度も確認する私に逆ギレし、
「もう本当にしつこいってばー!そうなのっ!これが現実なんですっ!」。
 
連日の猛暑でクラクラしながら大汗かいてやったのに。人生史上一番過酷な体験だったのに。
そもそも私は農作業に向かない。超キレイ好きで几帳面で除菌シートに除菌スプレーを携帯しながらの作業。
そんな人間に農業なんてやる資格はない。どんなに頑張っても潔癖性から抜け出せない情けない自分。
 
だけど二人で考えに考えてこの場所をつくった。子供の頃から色んなことを二人で乗り越えてきた。
お姉ちゃんを一人ぽっちでそんな大変なことをさせられるはずがない。
 
でも今回は流石に彼女を責めてしまった。「お姉ちゃん、何で農業なんか始めちゃったの?
どうしてこんな過酷な人生にしちゃったの?」大きな志を胸に頑張っていこうと決めたのに、
彼女のせいにして泣きながら責め上げる私。
 
しかし、この悲劇は1週間で終わりをむかえます。姉はきちんと確認もしないまま思い込んでしまったのです。
よくよく聞いてみると、目標の収量にはわずかに届かずも、ほぼ予想通りの収支となりそうで、
「大豆パニック」は、関係者の間で大笑いのネタとなったのでした。
 
元々びっくりするくらいポジティブシンキングの姉は、一転、
「初年度は学びの年。今年は、もっと大豆の収量を増やそう!葡萄の苗木も植えるぞ〜!」と、
俄然張り切っています、、苦笑。
 
倉庫の清掃や土を元気にする菌液を育てる穴掘りから始まった「THE WORLD」プロジェクト。
たった二人で始め、孤独と不安でしかなかった日々を見事に脱却し、少しずつではありますが、
若い仲間も増えました。大自然の中にポツンと二人しかいなかった農地は、今春から少しだけ賑やかになりそうです。
そしてまた懲りずに、今年も大豆作りをすることになりました!笑
 
さらに、もう一つ勘違いしていたことが。
たまたま観たドキュメンタリー番組である人が言っていたこと。
「自然が頑張ってくれた。人間よりも遥かに小さい微生物たちは、土の中で一生懸命養分を出してくれ、
その土が栄養を蓄えて大きくなった作物だから、自然には感謝しかないよ」。私はハッと気づかされた。
 
「私たち本当によくやったよ!あり得ないくらい頑張ったよね。頑張れ自分っ!負けるな自分っ!」。
だけどそれは大いなる勘違い。
神様がくれた大自然の恵みを、使わせてもらっているに過ぎなかったのですから。
 
北海道のアイヌ民族の暮らしは、自然の恵みに感謝し、生きる糧を必要な分だけ頂くというものです。
その恵みの源泉である大地を離れると、人間の本質である知恵を失うと、欲望に歯止めをかけています。
こうした精神を今一度学びなおし、原点に立ち戻らなければいけないのではないか。
 
私たちは、微力ながらこれからも、より良い社会のため、未来の子供たちのため、
そして生きとし生けるものたちのため、与えられた役割を、しっかりと果していきたいと思います。
 
ではまた次回のレポートまで、皆さまお元気で!
 
一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事 杉本志乃
理事 萩中華世
 
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